水と健康協会コラム、第3回目の今回は、血行にやさしい入浴法についてご案内いたします。
水温、入浴時間などの条件にもよりますが、入浴は血圧に大きな影響を与えることを以前に述べました。しかし、血圧に問題がある方でも、入浴の方法を工夫することで安全に入浴することができます。
今回は、血圧にやさしい入浴方法について解説いたします。
高血圧気味の人は、まず十分に「かけ湯」をしてください。
足から上半身にむかってゆっくりお湯をかけ、徐々に体をお湯の温度に慣らしていき、最後には頭からお湯をかぶるようにします。
入浴前にあらかじめ脳の血管を広げておくことで、入浴直後に血圧が急上昇するのを抑えるためです。
入浴中は、ぬるめに感じる水温(38〜41度)が望ましいと思います。
そして、血液が体の末端にいき渡るように、足の指を広げたり、手のひらや足の裏を刺激したりしてください。ただし、高血圧気味の人は、長湯や飲酒後の入浴は禁物です。
次に、低血圧気味の人の入浴法です。
低血圧とは、ポンプの役目である心臓が押し出す血液量が少ないか、または血管の収縮力が弱い状態をいいます。このような人は、浴槽から立ち上がるときに、お湯の水圧と温度から解放されると、血液が頭から皮膚の末端に急激に流れて、一時的に「脳貧血」になることがあります。
低血圧気味の人は「かけ湯」のあと、43度の熱めのお湯で「半身浴」をします。
熱めのお湯で体に刺激を与えるのです。
いったん浴槽からゆっくり上がったら、20度くらいの水のシャワーをさっと全身に浴びます。すると、血管が収縮して血圧が上がることになります。そして、再び43度ぐらいのお湯に3分ほど入ります。
このような「温冷交互浴」は、自律神経(交感神経と副交感神経のこと)を刺激して血圧を上昇させ、低血圧を改善する効果があります。
血行に問題がない人でも、湯に長く浸かっていたり、浴槽で急にザバッと立ち上がると、脳に血液が集まりのぼせる場合もあります。
「のぼせ」「立ちくらみ」を防ぐには、入浴中に冷水のぬれタオルを頭にのせて、頭部を冷やします。
また、風呂場を出る前に洗面器に水をいれ、両手と両足を20秒ほど浸して冷やすことも効果的です。
以上のように、高血圧気味、低血圧気味によって適した入浴法は異なります。
血圧が高めでも低めでも、正しい方法で入浴を続ければ、症状が改善される場合があります。
ただし、入浴中に調子がおかしいと感じた時は、すぐに中止したり、降圧剤などの薬を服用している人、高(低)血圧症と診断された方は、内科医や、認定温泉医から自分に適した入浴法を教えてもらい、安全で効果的な、しかも楽しい「バスタイム」を過ごされてはいかがでしょうか?
今回は以上となります、ご覧いただきありがとうございました。
また、文中の表現でよくわからない部分があれば、ご連絡ください。
メールフォームにて受け付けております。