今回は、次回に引き続き、「笑い」の免疫力のお話をします。
人体には、細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、それを攻撃して排除する生体防衛機能があります。これが「免疫」機能と呼ばれるものです。
たとえば、体内の細胞は、分裂を繰り返しながら、古いものから新しいものへと変わっていきますが、その場合に何らかの反応、刺激でがん細胞も生じます。
その数は一日に数千個、一生の間には約一億個できるといわれています。
ところが、がん細胞などの異常細胞が出現すると間もなく、生体防御系である免疫力が働いて、これを殺してしまいます。
この役目を受け持っているのが、白血球のひとつ、リンパ球で、その中でも天然の殺し屋といわれる「ナチュラルキラー(NK)細胞」です。
がん細胞やウイルスに感染した細胞を出会いがしらに処理してくれるので、がん細胞などが増殖しないわけです。
免疫力と病気の発生率は関係が深いことは明らかで、この免疫力は20代をピークに年齢とともに低下する傾向にありますが、いろいろな方法で免疫力が高まることがわかってきました。
前回述べたように、良く笑うことがNK細胞の活性化を高めるということが報告されていますが、笑いの効果についてのその他の研究結果を以下に紹介します。
1・笑いは免疫グロブリンAを増やす
1986年、米国ニューイングランド大学のディロン氏は、男性4人、女性6人の大学生10人に、ユーモラスな映画とそうでない映画を30分ずつ見せて、その前後における唾液中の免疫グロブリンA(風邪を予防する効果がある物質)を測定したところ、ユーモラスな映画を見た後は、大幅に増加したと報告した。
2・笑いは一種の運動である
1986年米国スタンフォード大学のフライ氏は、「笑うことは心拍、血圧を上げて酸素消費量を増加させる。20秒の笑いで心拍が倍増した状態が3〜5分続く」と報告した。
3・笑いはストレスを解消させる
1988年、米国ロマリンダ大学のバーク氏は、健康な男性を5人ずつの2グループに分けて実験。Aグループにはユーモアビデオを1時間見せて、Bグループには何も見せずにストレスホルモンの変化を測定した。
すると副腎(じん)皮質ホルモンの一種で、ストレス状態を表すコルチゾールとアドレナリンの二つがAグループでは減少する。また、免疫を高めるリンパ球の生産が盛んになることを明らかにした、
以上のように、笑いの効用が科学的に証明されています。
「笑う門には福来る」幸福だけでなく、笑いは健康をももたらしてくれるのです。
今回は以上となります、ご覧いただきありがとうございました。
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